理事長ご挨拶
日本アイバンク協会は昭和40年に財団法人日本眼球銀行協会として認可を受け設立されました。設立の目的は「角膜等の眼球組織の移植(以下「角膜等移植」という。)による視力障害者の視力の回復に資するため、献眼及び角膜等移植並びにアイバンク事業の普及推進を図り、国民の保健及び福祉の向上に寄与すること」であります。その後、財団法人日本アイバンク協会に改称し、平成23年に公益財団法人日本アイバンク協会(以下、日本アイバンク協会)として認可を受けました。
この間、初代理事長の桑原 安治理事長(慶応大学教授)、その後、水川 孝理事長(大阪大学教授)、真鍋 禮三理事長(大阪大学名誉教授)、所 敬理事長(東京医科歯科大学名誉教授)、金井 淳理事長(順天堂大学名誉教授)らの卓越した運営のもと本法人の運営がなされて参りました。
角膜移植は、昭和33年に我国における最初の移植に関する法律「角膜の移植に関する法律」のもとで実施されその後昭和54年「角膜と腎臓の移植に関する法律」、平成9年「臓器の移植に関する法律(以下、臓器移植法)」、平成21年「臓器の移植に関する法律の一部改正」の下、これらの法律、省令を正しく遵守し、実施されています。すなわち日本アイバンク協会は行政組織の指導、理解と支援を得て日本眼科学会、日本眼科医会、日本医師会、日本臓器移植ネットワークからの助成、また企業、個人からの善意のご寄付を賜り全国の地域のアイバンクとともに臓器移植法に基づいて公平かつ安全な角膜移植の実施に取り組んできております。
角膜疾患による失明からの回復はこうした病態を有する方々にとってクォリティーオブライフの向上に不可欠な問題ですが、他の医療と異なり、ドナーとドナーのご家族の崇高な篤志があって初めて可能となるものです。この機会にあらためてドナーとドナーのご家族の皆様方に篤く御礼を申し上げます。日本アイバンク協会はその設立以来、多くの方々の物心両面にわたる篤志をもとに公益事業を行ってきております。
またこの目的のための事業としては
となっております。
これまで日本アイバンク協会は歴代理事長のもと、アイバンク活動に対する指導、支援、待機患者の減少を目的にした特別事業、啓発DVD(がんばれアイバンク)の作成、啓発誌の発刊などを行ってきました。さらに、アイバンク協会設立50周年記念事業として金井前理事長のもと、啓発DVD「ヒ・カ・リ」の製作と各アイバンクへパーソナルコンピュータ(パソコン)の配布などを行っております。令和7年度には新たな啓発用DVDの制作を行うことと致しております。
アイバンクの基本的役割である角膜のあっせんシステムについては従来からの各アイバンク内での角膜のあっせんの枠を超えて平成29年から全国のアイバンク間でのメーリングリストによる「広域あっせん情報システム」と「緊急角膜要請システム」の運用を致しております。「広域あっせん情報システム」はドナーおよびそのご家族の尊いご意思を角膜移植に活かし、移植を必要とする全国の方々に角膜をあっせんするシステムです。「緊急角膜要請システム」は角膜穿孔など緊急に角膜移植を行わないと失明する方に角膜のあっせんを全国のアイバンクに発信、依頼するシステムです。この2つのシステムにより多くの貴重なドナー角膜が移植にあっせんされるとともに、緊急に角膜移植を受けて失明を免れることができるようになっています。
移植に関する医学的諸問題、アイバンクの運営に関する問題などはアイバンク関係者のためのメーリングリストが別に構築されており、円滑なアイバンク活動の運営に寄与しております。さらにアイバンクサポーター講習会を全国で開催してきておりますが、新型コロナウイルス(COVID-19)の発生からVirtual Meeting(Web)での開催を余儀なくされましたが、令和6年度から再度、会場での開催を致しております。また、多くの著名な方にボランティアとしてご協力いただき、令和5年度は黒柳徹子氏、令和7年度は由美かおる氏によるポスターを作製し、アイバンクに対する啓発に努めております。
また、協会に寄せられた寄付金を基に海外研究助成制度を設け、我国の角膜に関する研究および研究者の支援を行うとともに、日本臨床眼科学会総会において厚生労働省の後援を得てアイバンクセミナーを開催し、医師に対する啓発活動を行っております。さらに同学会において日本角膜学会、日本角膜移植学会とともに豚眼を使用して角膜移植に関するウエットラボを行っております。
世界保健機構のイスタンブール宣言に基づいて、失明者の視力回復のためにアイバンク活動の認知度を高め、かつ国内の様々な組織、個人のご支援を得て次世代に繋がるアイバンク協会の組織としての在り方とその発展に努めて行きたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。
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